『知らないと損!?年末調整と保険料控除』
年末が近づくと、サラリーマンは年末調整の時期がやってきますね。毎年やっている作業ですが、抜けや漏れがなくきちんと申告することで所得税や住民税の負担が減ります。万一、申告漏れがあっても教えてくれないので、自分で何が控除対象になるのかを知っておくことが重要です。今回は、年末調整で申告できる保険料控除について解説します。
年末調整の保険料控除とは
年末調整とは、1年間の給料から差し引かれた所得税を精算する手続きです。毎年11月ごろになると会社から申告書を渡されるので、それに記入して申告することになります。個人の生活状況に応じて控除対象となるものを申告することで、所得税と住民税の負担額が少なくなるため、事実に基づいて正確に申告する必要があります。
控除対象となるのは、配偶者や家族など扶養家族がいる場合に適用される扶養控除、障がい者控除、保険料控除などがあります。
扶養控除や障がい者控除などは記入の仕方が簡単ですが、頭を悩まされるのが保険料控除です。保険料控除で控除対象となる保険は、生命保険と地震保険があります。自動車保険や火災保険、傷害保険などは控除の対象とならないので注意しましょう。
生命保険料控除
生命保険料控除は、一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の3つの区分に分かれており、それぞれ申告します。平成24年1月1日以後に契約した保険とそれより前に契約した保険とでは、控除額が異なります。
平成24年1月1日以後に契約した保険(新契約)の控除額は、年間の支払保険料によって以下の通り決められています。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
(引用:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1140.htm)
一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料のそれぞれの上限が4万円なので、最高控除額は12万円となります。
一方、平成23年12月31日までに契約した保険(旧契約)の控除額は、以下の通りです。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
(引用:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1140.htm)
平成23年以前の契約には一般の生命保険料と個人年金保険料しかないため、上限は10万円です。
生命保険の中には、保険期間が5年未満のものなど一部対象とならないものがあるので、注意してください。
また、新契約と旧契約の両方に加入している場合は、次の3パターンから選択します。
- 新契約の保険料控除のみ適用
- 旧契約の保険料控除のみ適用
- 両方を組み合わせて適用
地震保険料控除
居住用家屋に対して地震保険料を支払っている場合に適用対象となります。年間支払い額が5万円未満の場合は全額が、5万円以上の場合は5万円が控除額です。
旧長期損害保険は平成19年分から廃止されましたが、要件を満たしたもののみ地震保険料控除として申告することができます。旧長期損害保険料の控除額は、年間支払い額が1万円以下なら全額、1万円超2万円以下なら支払金額÷2+5,000円、2万円超なら1万5,000円です。
申請時の必要書類
生命保険料控除も地震保険料控除も、保険会社から送られてくる控除証明書を申告の際、一緒に提出します。手元に届いたら年末調整のときまで大事に保管しておき、万一紛失した場合は保険会社に連絡をして再交付してもらいましょう。
保険料が給与天引きされている場合は、会社が代わりに手続きをしてくれます。
年末調整で申告を忘れた場合
年末調整で保険料控除の申告を忘れた場合、速やかに勤務先に伝え、再調整できないか相談しましょう。会社の都合もありますが、翌年の1月末までは再調整が可能です。期限を過ぎてしまったら、2~3月に個人で確定申告をすることになります。
まとめ
今回は年末調整で申告できる保険料控除についてご紹介しました。生命保険料と地震保険料を支払っている場合は、申告することで所得税と住民税の負担が減るため、忘れずに申告するようにしてください。毎年確定申告は書類の作成が面倒に感じるかもしれませんが、基本を覚えておけば戸惑うことがありません。ぜひ参考にしてください。